NGNを再考する〜まとめ

コメントを頂いたので、少し考えてみる。

今までのNGNに対する考えをまとめると、以下の効果が期待できる(はず)。

  1. 回線交換のIP化による管理コスト削減
  2. 標準化された便利なSIP的なサービス
  3. QoS課金
  4. その他サードパーティサービスの課金(iモード的な意味で)

このうち、1.と2.は表裏一体。電話の不便をあらためて考えるにて考えたことが2.で実現するのであれば便利になる。IP化するのであればSIPは避けて通れない。ここで変に維持を張って独自規格にしなかった点は、標準化する方の利益が高かったからだと考えられる。放送業界では日本は独自規格を作った。

3.はNGNで1.2.以外に価値があると流布された噂の技術だが、実際にどこに使うのかという話になって音声・動画しかありえないという状況。しかし前回のエントリで書いたとおり、ニコニコ動画のプレミアム会員サービスは一種のQoSであり、顧客がQoSに対して金を払わない状況ではないということが分かっている。問題なのは、回線を変更してまで受けたいと思うサービスがあるかどうか、だと考えられる。

4.こそがNGNの意義、iモードを固定に焼きなおしたLモードの失敗を、Q2の成功を元に考え出された第三の道であると考えている。つまり、電話料課金と共に動画サービスなどサードパーティの課金も行えるようにすることによって、コンテンツの流入を目指すもの。

ただし、この策には2点問題があると考えており、1つは現状のISPでもまとめて課金を行うことが出来る点、もう1つはiモードの時とは事情が違う点である。

ISPに対する違いを回線屋が生み出すためには、回線にかかわった課金ならではの独自性が必要であり、それが今は思いつかない。

iモードのときはWeb空間の構築を自由に行えるようにした点が評価されたが、現状では固定回線は既にオープンなWebが構築されている。課金をしやすくするために回線業者を移るユーザはいない。だとすればユーザの動きを想像してみれば、既にNGNな回線に入っていてついでにサービスを提供して課金するというシナリオになる。

携帯電話の業者変えはよく行われているが、インターネット接続の固定業者を変えたという話は、相当なマニアじゃない限り聞かない。

ただし、将来的に彼らに対して回線交換方式の廃止および原則NGN回線加入のシナリオを組み立てれば、それが出来ないわけじゃない。思い返してみれば、アナログ放送廃止の仕組みと同じことをやろうとしているのかもしれない。デジタル放送の普及は別のエントリB-CASの存在意義で述べたとおり、有料課金にあると考えられるからだ。

以上のことから、

将来も原則として固定回線は残る、電話回線は回線交換からIP化される、だとすれば大半のユーザはNGNに(NGNかどうかを意識しないで)加入する。大半のユーザが加入した時点でサードパーティ課金は現実味を帯びてくる。この1,2年の間にどうこうということはない、株主に対するリップサービスとしてNGNのQoSで遊んでいるに過ぎない。

と、自分は踏んでいる。

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無線LANをこよなく愛する虚言者。
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