EE Times Japanにてホーム・ネットワークは今なお視界不良 〜 【CES直前特集】2009年の注目技術 ― EE Times JapanというHD映像と無線ホームネットワークに関する考察が挙げられている。
「新規の配線が不要」なことを重視するかどうかが、エンタープライズ(企業)・ネットワークとホーム・ネットワークの境界線の1つだろう。企業は、オフィス間を接続して生産性を高められるのであれば、新規の配線を敷設する投資もいとわない。しかし家庭では、よほどハイエンドのユーザーでなければ、高い信号品質が得られるからといってカテゴリ5/6のより対線ケーブルに取り替えたりはしない。従ってホーム・ネットワークは、ボリューム・ゾーンの市場で成功を収めるためには、データ容量の大きい映像ストリームを扱う場合でさえも、新規の配線を強いないように、完全に無線化するか、さもなければ既存の電話線や同軸線、電力線を利用しなければならない。
企業では、その投資が費用対効果として利益に関係するのであれば、やはり投資はいとわない。しかしながら、家庭用途であれば、エンターテイメント用途であり、あったからといって生産性に関係はしない。よって、投資が鈍る。よほどの理由がない限り、現在の家庭内で有線ケーブルを這わすことはない。
UWB(Ultra Wideband)技術に基づく「Certified Wireless USB」は、さらに深刻な状況である。パソコン周辺機器の無線接続に関しては市場を築く可能性はあるものの、HD映像の無線伝送については、1つの部屋の中でさえも実現できるかどうかがはっきりしていない。
民生機器メーカーは現在、独自方式の無線リンクを検討しているが、それにもまた課題がある。例えばイスラエルの半導体ベンダーであるAMIMON社は、5GHz帯を利用する独自方式の技術を推進しているが、サポートは限定的である。もし同社の技術がうまく機能するとしても、複数本のHDストリームを無線伝送することは難しいとみられ、結局はコンテンツを圧縮して送るという方向性になるだろう。このほか業界では、60GHz帯を利用する技術も提案されているが、まだ研究開発の段階にあり、現時点では評価を下せない。
まさか、ここで述べられている通り、室外伝送だけでなく室内伝送も困難なのだろうか。おそらく、ここで述べている記者は欧米の広い住宅をイメージしていると考えられる。日本の狭い住宅、木造住宅であれば、伝送できてしまうのではなかろうか。
なぜわれわれは、室内ネットワークについて議論しているのだろうか? 旧来からのデータ通信と新たな用途であるHD映像のストリーミングの両方に単一の技術で対応できるような、完ぺきなホーム・ネットワークなど存在しない。従って、ある程度近い距離に置く機器群だけに無線接続を適用し、そうした機器群と機器群の間は何らかのバックボーン(基幹回線網)によって有線接続するというシナリオが有力になる。
この点が面白い。11nになってデータ通信とHD映像通信が共存できるレベルの帯域は確保できる感じになった。であれば、両方共に使えるネットワークの方が費用圧縮効果がある。
このデータ、映像共に使える11nネットワークの構築のために何が必要だろうか?