放送と通信の融合 (2)

福井でWiMAXを介したフルHD映像伝送を実施

福井新聞 – 福井のニュース福井ケーブルテレビ、実験免許を取得しWiMAXを利用したフルHD映像伝送を実施:Enterprise:RBB TODAY (ブロードバンド情報サイト) 2007/04/11にあるように、福井ケーブルテレビが総務省北陸総合通信局に対してWiMAXの実験局免許を申請し、3月30日に受理されたようだ。

今回の申請では、WiMAXを用いて、洪水など防災監視システムを想定したフルハイビジョン映像の伝送を実施するとしている。

生き残りを賭けたWiMAXへの挑戦

WiMAXを採用する事業者は今までに様々で、知る限り、携帯キャリア、ADSL接続業者、CATVという順に続いているような気がする。今回の報告では日本の地方のCATVが採用するということで面白さがある。今後、CATVがWiMAXを進めていくという仮定のもとフジクラと華為などCATVのWiMAX導入で協業、企画から構築まで請け負い:ITproという事業者向けサービスが整いつつある。

さらにアッカ、新潟県魚沼市でのモバイルWiMAX実証実験を公開にあるようにADSL接続業者であるアッカもモバイルWiMAXに取り組んでいる。

地方で流行るという仮定は前回のエントリにて書いたが、アジア太平洋地域のWiMAXは堅調 – CNET Japanという話があるところを見ると、皆もそう考えているようである(天邪鬼なので癪に障るが…)。

通信から放送へ

また、CATVだけではなく、通信事業者がCATVの領域を食いながらWiMAXを広げている例もある。

【CTIAプレビュー】CTIA2007が開幕へ,話題の中心はモバイルWiMAXとMediaFLOに – モバイル – Tech-On!では、モバイルWiMAXあるいはMediaFLOを用いて放送を行うことを考えている。3Gでは以前からクアルコムがMediaFLOということでブロードキャストのフレームワーク構築を始めていたが、モバイルWiMAXでも「Certificate Wave 2」のように放送サービスの準備を始めていたようだ。

以上のことを見ていくと、WiMAXは放送サービスとの連携で差別化したいという気持ちと、放送サービスのさらなる広域化として利用したい気持ちが見えてくる。

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放送と通信の融合 (1)

無線通信と放送の交わりについて考えた。

無線LANと放送

提言:地上波デジタル放送への国費投入に反対する

無線LANは急速に普及し、その端末の数は今年中に全世界で3000万台を超え、デジタルテレビをはるかに超えると推定される。次世代の無線LANでは、最大54Mbps(テレビ10チャンネル以上)のブロードバンド伝送も可能である。数万円の基地局でテレビ番組を流せる時代に、1兆円以上の経費をかけて行われる地上波のデジタル化は時代錯誤であり、民放連の氏家斉一郎会長も認めるように、事業としても採算は取れない。ここで既成事実を認めると、今後はデジタル放送設備への公的資金(財政投融資を含む)投入の要求が出て、さらに国民負担がふくらむおそれが強い。今回の国費投入は、実質的には零細な地方民放の救済措置だが、「マスメディア集中排除原則」を緩和し、放送局の買収・再編を進めて経営基盤を強化すれば、自力でデジタル化を行うことは不可能ではない。自己責任で事業化できないなら、地上波デジタル放送はやめるべきである。

池田信夫先生が代表。10チャンネルってテレビ朝日なら流せるが、SDTVの10チャンネルってh.264ならできるのだろうか。

ビッグ対談:放送・通信融合を語る!(3) | WBB Forum

亀山 村井先生がおっしゃったように、放送を支えられるような無線通信技術が整ってきたのは、ここ2〜3年のことなのです。しかし、そのような放送に関連する新しい無線通信技術が登場してきていることにたいして、放送関係の人々は、これは放送ではない、放送と関係する技術ではないと、ずっと思っていたのではないかと思います。具体的には、Wi-Fi(無線LAN)あるいはWiMAX(無線MAN)、MediaFLOのような新しい高速無線の技術などです。

最近になって、このような新しい高速無線技術が、実は放送にも使えることに放送関係者は、やっと気がついたのです。このことについて、もっと早く、放送関係者が気づいていれば、Wi‐FiとかWiMAXなどは、通信だけではなく、放送にも使えるインフラ(基盤)にもなりうることを理解できたのです。

良質の対談。亀山先生が”Wi‐FiとかWiMAXなどは、通信だけではなく、放送にも使えるインフラ(基盤)にもなりうる”と仰っている。

自分としは無線LANでは距離的な不利があると考えている。そこでWiMAXに期待しているが、WiMAXでも距離が伸びないという問題点を抱えているらしい。

WiMAXはもともと、固定系の技術(ラスト・ワン・マイル)だから距離は必要ないのでは、とも思ったが、本文中に以下のように言われると厳しい。

 「WiMAXは、もともとFixed Wireless Access(FWA)、固定無線アクセスの技術として誕生しました。モバイルWiMAXは、FWAの需要がそれほど高くなかったので、これをモバイル用に拡張したものなんです」(川端氏)

 FWAは、ADSLなどの導入が難しい家屋向けのブロードバンドソリューションで、例えばマンションの近くの電柱に置いた基地局とベランダに置いたアンテナを結ぶ通信の技術だ。日本ではスピードネットがこれを採用していたが、今年になってサービスを終了している。

 「これに対して802.20は、当初からモバイル通信のために開発された技術です。次世代携帯電話の標準化団体である3GPP2でも、高速化インタフェースとして採用される見込みです。移動しながらの利用なら、802.20が断然有利です」

正直、802.20でも802.16eでも、どっちでもいい。そもそもクアルコムが囲い込みをしなければWiMAXは必要なかった気がする。事業者は、WiMAX陣営とクアルコム陣営の双方のシミュレーションを行って、事業収益を挙げられそうな陣営と手を組めばいい。

無線陣営の放送な動き

YOZAN 個人投資家説明会資料とか
簡易株式交換による株式会社キティライツの完全子会社化とか簡易株式交換による株式会社飛鳥新社の完全子会社化を見ていると、YOZANはマルチキャストによるコンテンツの配信を意識している気がする。説明会資料には記述されていないが。

さらにWiMAXを進めているKDDIがCATVの株式を取得したこともある。

よって、WiMAXを絡めたモバイルマルチキャストによる放送サービスという仮説が出る。そうすることでWiMAXとCATVサービスを絡めたようなサービスが可能になり、WiMAX敷設コストを軽減することが可能になる。

しかし、この仮説は困難だ。その理由は、先に挙げたとおり、Fixed Wireless Access(FWA)の需要が少ないからだ。日本全国、フレッツ光が張り巡らされている状況下、放送を行うために、わざわざ公衆無線系を利用する理由がない。さらに帯域が足りない。そうなるとモバイルWiMAX(802.16e)ならばという話だが、移動しながら映像を見るニーズは、どれほどあるだろうか。という批判にさらされることになる。

ならばと、非常時の通信ではどうかという話だが、1セグで十分だ。

もし先の対談にあったように、データ通信と放送兼用のネットワークを構築する、という話でもあれば、デジタルデバイド解消と放送の進化、という話はあったのかもしれない。それはIP再送信が成った(今でもゴタゴタしているが)今、デジタルデバイドを引き起こしている地域、有線を敷設しにくい地域には有利かもしれない。

本格的にやるためには、デジタル放送システムが整っていない国外に出なければならないというのが、現在、思うことである。

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Google Scholarが進化した

半年前に、自分の研究分野についてGoogle Scholarでサーベイして国内では盛り上がってないことが分かり、国内では新しい分野と嬉々して研究を始めた。んで、半年に一度程度は研究分野について論文探そうと思い、本日は論文探しをしていた。で、調べたら日本語の原稿が出るわ出るわ。

やけにCiNii経由の論文が引っかかると思って原因を調べたら以下のとおり。

【学術/IT】国内論文(NII)300万件が「Google Scholar」で検索可能に [07/04/09]

国内論文300万件が「Google Scholar」で検索可能に − @IT

 国立情報学研究所(NII)は4月9日、国内の学術論文300万件を納めたデータベース「NII 論文情報ナビゲータ CiNii」のデータを、グーグルの「Google Scholar」で検索できるようにしたと発表した。

つまり、今日、GoogleとNIIが発表されたわけ。昨日に論文探しをやっていたら電子情報通信学会のは出てこないということなのかもしれなかったので、今日で良かった。10本ほど釣れた。

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104ビットWEPは1分あれば破れる

スラッシュドット ジャパン | 104ビットWEPは1分あれば破れる

WEPがセキュリティ的に脆弱なのは以前から知られていたことだが、それでもキーの解読には50万から200万のデータパケットを捕捉することが必要と考えられていた。しかしTewsらのページによると、今回改良された手法を使えば40,000パケットの捕捉で50%、85,000パケットの捕捉なら95%の確率でWEPキーは解読可能だという。 40,000パケットというのは従来知られていた必要パケット数の10分の1以下であり、受信状況さえ良ければ1分以内に捕捉可能とのこと。実際の計算にも、Pentium-M 1.7GHz、3MBのメインメモリという程度のマシンですら3秒かからなかったという。Tewsらは、セキュリティが重視される環境ではもはやWEPを使うべきではなく、早期にWPA1やWPA2といったより強力なセキュリティに移行すべきだと警告している。

よもや、64ビット鍵なんて言語道断。

この調子だと、128ビット鍵すら危ないかもしれない。WEP128ビット鍵にしか対応しないNintendoDSがセキュリティを下げるといわざる得ない時期が来るのかもしれない。

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PCレスで写真をサーバへ送信可能に–ニコン、COOLPIX S50Cと接続サービスを説明

PCレスで写真をサーバへ送信可能に–ニコン、COOLPIX S50Cと接続サービスを説明 – CNET Japanにてニコンの新しい無線LANサービスが伝えられている。

 このサービスを活用すれば、旅行中に一定の容量になったら無線LANでサーバにアップロードしてバックアップをとるなど、オンラインストレージとして活用したり、友人との食事やパーティなどの帰り道、駅のホットスポットからメールアドレス(携帯電話には未対応)に写真を送ったりできる。

ニコンには恐るべき、無線LAN技術者およびサービス企画者が存在していることが、件の記事から分かる。

もちろん、別のインターフェース、たとえば複合機や無線LANマイクでも可能であろう(存在するのであれば)。

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製品研究 無線LAN

製品研究 無線LAN:ITproという特集が組まれている。

802.11nやチャネル・ボンディングについて分かりやすく説明しようとしているので好感が持てる。

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FONとセキュリティ (2)

FONのセキュリティの記事に対して反応があったので、追記。

確かにあなたはLinus?それともBill?–草の根無線LAN「FON」が日本でも始動 – CNET Japanにて

 しかし、自分が利用するネットワークを他人に公開することは、セキュリティ上のリスクになりうる。この点についてバーサフスキー氏は、さまざまなセキュリティ対策を施していると自信を示す。例えば、FONのネットワークを利用するにはユーザー認証が必要なため、不正な行為をしたユーザーも特定できるというのだ。また、ルータの持ち主とほかのユーザーの通信を分ける仕組みもソフトウェアに内蔵しているという。

と記事がある。「FONのネットワークを利用するにはユーザー認証が必要なため、不正な行為をしたユーザーも特定できるという」ことには確かに納得できる。しかし、認証と暗号化は違う。認証が済んで、その後の通信は暗号化されるのか。

まず不正利用をする人間の可能性は、FONユーザーとAP設置者と考えられる。

もしFONユーザーが不正利用した場合、どうなるだろうか。無線LAN共有サービスの「FON」が、ルーターを無償配布中にあるように、

その無線APを利用した犯罪が行われた場合、最初に疑われるのはAPを設置した
本人になると思うのだが….。いくら、FON側がRADIUS等で接続ユーザの認証して
いてもNATかかった状態では、接続先にはFONで繋いでいるかどうかは分からない
からね。

警察からの事情聴取等は避けられないかも。

それに、WiFiレベルの接続記録はあっても、TCPレベルやHTTPレベルの記録って
残るの?どこに残るの?(残ってたら残ってたで気持ち悪いし、残って無くても
潔白を証明することが難しくなるので気持ち悪い)

とあるように、IPアドレスはAP設置者のものになるはず。なぜなら記事を読んでも、”FONのサーバーにVPNして”通信するとは書いていない。よってソース元IPアドレスはAP設置者のものとなる。かつ不正アクセスをした証拠はダンプとして残るのかどうか疑問だ。HTTPならユーザーエージェントを書き換えたりできるだろうが、IPレベルではまず無理だろうと思う。よって、犯人が特定できるのかどうか甚だ疑問だ。

次にAP設置者が盗み見している場合。FONのAPからWebサーバに安全にアクセスするためには、”利用者が安全だと思う自宅サーバにVPN接続する必要”がある。そうでなければ見ているコンテンツは覗き見されてしまう。

僕は当初、Linusという自宅にAPを設置する相互扶助の制度というのは、自宅の信頼できるAPまでVPNを張るためだと思っていた。事業者ならともかく一般市民のネットワークを通過するのであれば、VPNは必須だと考えていた。が、どうやらそうではないらしい。

この安全を保証するためには、Linus以外のユーザに対してFONがVPNサーバを提供しなければならない。そんな話が今のところ、見えてこない。だから、前回のエントリを書くに至った。

一応、【物欲オヤジのネットワーク実験室】 「FON」を“悪者”にしない4つのポイントとは?:RBB TODAY (ブロードバンド情報サイト)というVPN利用を推奨する記事もあるようだ。この記事の風潮だとVPNのTCPポートが空けられていない場合も考えられるので、HTTPのVPNを張るしかなさそうな雰囲気がある。

このようなリスクをユーザーが認知していない気がした。もし、そういうことがないのであればFONも安泰だと思うが…。

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FONとセキュリティ (1)

FONのセキュリティリスクに対して何も考えていないのは、どうよ、ということで。

無線LAN部分のセキュリティ部については説明があるけれど、”その先”については話題になっていないような。

FONに一応説明っぽいことは書いてあるが、何をやっているのかさっぱり。

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帯域の使い道

イーモバイルの登場で(少なくとも現状では)1Mbps以上の帯域を利用したインターネット活動が(予定では2007年6月末までに)首都圏で可能になった。

これに対して公衆無線LANはどう考えるべきか悩んでいる。たとえば、FONはどうなるか、という問いだ。

自分自身、FONの認知は高いことに驚いている。そしてFONの認知が高いということは、無線LANの認知も高いということを意味する。公衆無線LAN事業者のFONが伊藤忠,エキサイトと資本提携:ITproにあるように、日系企業も気にはなり始めているようだ。

FONのサービスモデルにはISPとの約款問題があった。すなわちISPが顧客に提供した回線をさらに”また貸し”することなかれという条項だ。このため、FONをやりたくてもやれない潜在ユーザーは存在するはず。もちろん違法にFONユーザーになっていることもあるはず。それに対してISP側が何も対処をとっていないということは、様子見の段階であるということを意味している。このままP2Pのように緩やかな黙認が行われることは間違いないと思う。

今回のイーモバイルとFONの違いは、帯域とエリア、回線使用料、そして収益モデルになる。その中で帯域を取り上げてみようと思う。

帯域の違いは1〜2Mbpsと1〜??Mbps。FONの場合、ユーザーの固定回線に左右されるので分からない。で、ユーザーがインターネットを利用する帯域としてどのくらいが必要だろうか、と考えると、2〜3Mbpsあれば不自由しないのではないかと思う。YoutubeやGyaoはイーモバイルで問題なく使えているという噂が流れている。だとすればFON(公衆無線LAN)はそれ以上の帯域でどんなユーザーエクスペリエンスを与えられるのか、と疑問に思った。

それはADSLと光回線の違いにも共通しての疑問だ。

だから帯域を食いつぶすような新しい何かが必要だという思いは今でもある。

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OpenWRTでもMIMOは可能か

アクセスポイントのファームウェアでは、今までOpenWRTの方を追っていたのだが、DD-WRTの方も調べてみた。調べた理由は、BuffaloのWZR-G144NでMIMO(802.11nドラフト)をOpenWRTファームウェア上で利用したかったためだ。

しかしながらOpenWRTで、MIMOに対するアプローチが行われている様子ではなく、期待は薄かった。最悪、自分でWRT350NのソースコードからMIMOドライバを復元するしか方法がないだろうと思っていた。

DD-WRTのサイトにて、以下の記述があった。DD-WRTはOpenWRTの派生であったと記憶している。

Support for MIMO Pre-N Routersstarting from this night, there will be full support some some common broadcom based pre-n mimo routers like the Linksys WRT300N v1, Linksys WRT350N (gigabit ethernet) and the Buffalo WZR-G300N. client and ap mode are both fully supported, but as always there are some glitches in the configuration left. but the basic stuff is working.
so watch out for new v24 betas (and hopefully finals soon)

Linksys WRT300N(v1)に基づくPre-N(802.11nドラフト)に完全サポートすると記述してあるように思える。BuffaloのWZR-G300NはこのWRT300Nと互換性がある(というかLinksysのOEMでは?)。

このWRT300Nは海外版なのだが、私はそれの日本版がWRT144Nであると思い込んでいる。すなわち、300と144は帯域を表すものなのだが、それはチャンネルボンディングの差である。

よって、DD-WRTのv24 betaのソースを参照することで、WRT144NのOpenWRTでもMIMOが利用できないかという希望が生まれたわけである。

現状はその他の作業で忙しいので実証できないが、時間が作れたら5月頃に試してみたいと考えている。
(でもmadwifiで11nサポートするという情報が出ているので、今後はAtherosチップのアクセスポイントに環境を移して生きたいと考えている…)

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