個人的に重要だと判断した2009年の無線LAN関係の記事をまとめた。特に今月12月中の無線LANのニュースが多い。
無線LANの記事なんでどーでもいーべ、と特に感想を書かなかった部分を重点的に振り返りたい。
おおざっぱには、WPA-TKIPの脆弱性が明らかになったこと、802.11nが批准されたことが特に重要なニュースだ。個人的な感触としては、ネットワーク対応プリンタが無線LANを搭載するようになったと感じた。それほどまでに生産コストを感じさせない安さに無線LANモジュールがなってきている。
4月
「Bluetooth 3.0」規格が正式発表,802.11採用で最大24Mbps
Bluetoothは無線LANと同じくれっきとしたIEEE標準規格だが、物理層は別のものだった。今回の規格では、通信に無線LAN(802.11)のMACとPHYを使いましょうよ、という提案。Bluetoothプロトコルから802.11プロトコルへの載せ替えにPAL(Protocol Adaptation Layer)という仕組みを作りますよ、ということ。つまり、Bluetooth 3.0≒802.11となるわけで、もうBluetooth PHYはいらない子とか妄想する。
個人的な思想では無線LANインターフェースの普遍性はUSBを越えて、無線LANインターフェースの普遍性はUSBを越えて (2)にあるように周辺機器のインターフェースは802.11でいいじゃん論者なので喜ばしい限り。802.11に唯一足りなかった点はペアリングの容易さなのだけれども、それをBluetoothが補うのも良きかな、と。だけれども24Mbpsまでしか対応しないので、802.11本家の規格のペアリングはどうなった?(AP不要の「Wi-Fi Direct」仕様、今年末までに完成へ――端末同士を直接接続)と調べてみると、年内には出そうとしているのね感が漂ってくるので、やっぱ802.11でいいじゃない、と思うに至る。そういえばWireless USBどこいった?
5月
KDDI、携帯から無線LAN接続可能なサービス「Wi-Fi WIN」を提供
ホームU とは
携帯電話と無線LANの融合が、ここまできてやっと進んできたのは喜ばしいことだ。これについてはそろそろ携帯電話に無線LANが標準搭載されてもいい時期である件についてとボヤいた。
9月
IEEE、無線LAN規格「802.11n」を正式批准
ようやく、という所。規格としてはドラフト2.0で作業はほぼ終わった感があるので、どうということはない。製品はドラフト1の頃から出ていたし。これから製品をバンバン出荷していいですとも!
10月
中国で大ヒット中の「一生ネットが無料になる機器」とは!?
特徴は違法出力度の電波でつながりやすくなること、クラックツールつきで弱くなった暗号のAPを乗っ取れること。といっても鍵もかけないAPがコロコロしているようなので、電波力がアップする方が有利か。
11月
いろいろつながる、いつでもつながる。3G一体型モバイルWiFiルーター 「Pocket WiFi(D25HW)」を11月18日より発売
遅い。今年3月にはウィルコムがどこでもWi-Fiを出荷。6月にはUQ WiMAXに対応する無線LANルーターをIOデータが出荷モバイルWiMAX対応の無線LANルータ「WMX-GW02A」 – 価格15,700円。これでPHS、WiMAX、3Gの3つ全てのWiFiゲートウェイが出揃った。
これらのWiFiルータはWiFiゲートウェイとも表現され、ノートPCや携帯ゲーム機でWiFiしか対応していなくても、3GやPHSの回線を利用できるようになるというもの。ノートPCの場合、USB接続のアダプターをつければ通信できるようになるが、多人数で接続したい場合、またUSBのアダプターが対応しない機器(携帯ゲーム機やiPhone)に有効である。特に1つの無線回線を共有して会議したい場合などは、この手法が特に有効だ。
このことから、無線LANは無線ゆえに1つのもの(周辺機器だったり回線だったり)を共有しやすいという点も主張できる。
12月
バッファロー、無線LAN用ソフトウェアルータを実現する小型USBコネクタ
プラネックス、超小型無線LAN USBアダプター
世界最小の無線LAN子機たち。無くしそう。
HD映像無線伝送のAMIMONが新戦略、無線LANチップ・ベンダーにIPをライセンス(前編)
ああ、そうですか。
総務相、電子黒板をアピール 小学校を視察
5年生の社会科の授業を見学した。電子黒板に書き込むと、無線LANでつながった生徒一人一人のパソコンにも同じ内容が表示される様子を見て、総務相は「すごいね」と感心。担当者から仕組みなどを聞いた。
少し前に、東大生のノートはかならず美しい本を2冊とも買ってしまったのだが、その中ではPCにメモをする場合とノートにメモをする場合に比べて、ノートにメモをする方が脳が活性化するなんてことを書いていた。例え、電子黒板が手元で表示されるとしても、ノートに手書きで写す行為、まとめる行為は必要だろう。しかし、先生が書いた黒板をあとになって確認できるのであれば、まとめノートを作るときに有効だ。
ちなみに「PSPと教育」の関連性は強い。昨年の話題では、福島高専が420台のモバイル端末(PSP)を利用してCMSを構築し、電子メールやSNSを活用した教育にいそしんでいると聞く。中学校でPSPを利用した教育−英国や英国海軍が隊員を「PSP」で教育、本を読まない世代の学力アップを狙う。などの記事も記憶に新しい。これも無線LANあってのことだ。
このようなことをWiMAXや3G回線ではどうだろうか思案するが、既に携帯電話ネットワークとしては利用できる状態になっているわけで、映像教育を含むか否かが転送スピードとストレスの分岐点になるだろうと考えている。テキストのみでは3G、WiMAXでも十分だろう。構内にLANを張り巡らすことが面倒であれば、前述のWiMAX-WiFiゲートウェイを設置するだけでも良いのではないか。
地デジチューナーなどをLAN共有できるUSBアダプタ登場 有線USBデバイスを無線で利用可
ETG-DS/USは同社が「USBデバイスサーバー」と呼ぶ製品。外付けのHDDや光学ドライブ、プリンタ、スキャナなどのUSB 2.0機器をネットワーク経由でPCと接続、切り替えながら使うことで1台のUSBデバイスを複数台のPCで共有できる。本体には2つのUSBポートが用意され、別途用意したUSBハブを接続することで最大15デバイスまでLAN共有可能になる仕様。
USBをネットワーク共有できるようにする製品。地デジチューナーにも対応するとのこと。これもUSBよりも普遍的なインターフェイスである無線LANへの変換事例。
まとめると、PHS、3G、WiMAX、USB、Bluetoothが無線LANとの相互乗り入れを求めている。
Win7搭載PCを無線LANアクセスポイント・ルーター化する「Connectify」が正式版に
仮想AP機能に対応しない古い無線LANアダプターもアドホック接続で利用可能。前述の3GやPHSのWiFiゲートウェイのPCバージョン。USB接続の3G回線を持っていれば、他の人のPCやゲーム機も接続できますよ、と。難点はPCを起動しなければならない面倒さ。コストはかからないので、前述のデートウェイを使うほどまででもない用途であれば、これで十分だ。
米マクドナルド、無線LANを無料開放へ=全米の店舗で
日本の喫茶点ではPSPを持ち込んで対戦する人が多いと何度も書いた。公衆LANではノートPCを利用している人も多いはず。そういった時代の流れを汲んでの発表。日本でもやる場合の検討は回転率との相談になるかも。
2.4GHz帯の解析を低コストで実現!USBスペクトラムアナライザーWi-Spyと
無線LAN電波状況解析ツール「Wi-Spy」がIBSジャパンから!
4万ちょい。これはいいものだ。が、少し迷う値段。
コグニティブ無線ルーターとは
夢の技術。
iPhone&Twitter対応 進化した体重計「WiFi Body Scale」
ユビキタスとしては、個人的にこれをずっと待っていた。買うかも。重要なのは無線LANを搭載したということ。次に流行ると思っているのは、電力計with無線LAN。エコブームで、消費電力の低い無線LANルータが出荷されているなど、無線LANもエコとは無縁ではない。体重計もエコである。人が痩せることで交通機関の積載量が減り、結果としては燃料の節減になるとの予測の上であろう。人が痩せれば経済効率は最大化するのである。そうした流れでは人間のバロメーターである体重以外にも、家庭内家電のバロメーターである家庭内電力の測定も重要な課題であり、それほどまでの課題であれは無線LAN搭載もやむなしであろう。
これは流行る。
感想
WPA崩壊によるリプレース、買い替えに最適なのは今年に批准された802.11n技術だ。そして、それらの相互接続を容易にするWiFi Direct技術。USBや3G回線、体重計、デジカメなどの豊富な相互接続先。無線LANチップが安価になったことにあるノートPCやプリンタなどの周辺機器の標準搭載。そのような要素が教育に十分であるとの判断からの、教育内ネットワークの構築と無線LANを搭載したPSPの活用。この方向性は正しく、来年はより人が使うことに着目した無線LAN搭載製品が出荷されることだろうと予測する。
特に来年はWiFi Directによるペアリング元年となるだろう。そうしたとき、無線LANと周辺機器の相性は抜群になる。そう考えれば2010年も無線LANは明るい。